X68000 Z登場 ~ 中身はどうなのか?
21世紀も20年以上経過した今、なんとX68000の新製品が登場しました。
株式会社瑞起さんが、往年の名機X68000を復活させました。その製品は、X68000 Zです。どんな製品なのでしょう。
1.エミュレーションにより実現
X68000 ZはCPUにMC68000を採用しているわけではなく、CPUにARMを使用し、LinuxベースのOS上でエミュレーターを動かすことによってX68000を実現するようです。当然と言えば当然ですが、MC68000を使った完全互換?の新機種ではないということです。
しかし、外見はX68000を忠実に再現しています。サイズはダウンサイジングされていますが、その方が使いやすいです。また、キーボードやマウスまでX68000純正に似せて作られています。これはうれしいですね。
分かっているスペックは
- CPUは、ARMベースの「瑞起 Z7213」
- メモリ DDR3 512MByte
- ストレージ NAND 512MByte
メモリやストレージが今となっては少ないので、Ubuntuなどを動作させることは難しそうです。でも、ストレージに関してはSDカードスロットが用意されるので、補填できそうです。その他、USBポートもあるので、ブートスタートなどができれば、使用範囲も広がりそうです。(※あくまでも推測です)
2.まだ完成していない(投稿時)
X68000 Zは、まだ完成した製品ではありません。完成まではPHASE0/1/2などのステップがあり、今は入り口のHACKER’S EDITIONへ向けての作業が行われています。
まだ完成していなくても、テスト版をクラウドファンディングで購入できます。それぞれが製品の完成に向けて参加できますので、ぜひ参加してみてください。
3.既にX68000のエミュレーターはいくつもあるが
X68000に関して、IPLROMやOSなどがSHARPさんから無償公開されており、それを使ったX68000エミュレーターがいくつも存在します。私もRaspberry Pi上のエミュレーター「RetroPie」で、X68000について特集しました。
もちろん、Windows上でも難なくX68000のエミュレーターを動作させることができます。そのような中で改めてX68000 Zを製品として出す必要はあるのでしょうか。
私も疑問を感じますが、WindowsやRaspberry Piだとキーボードの操作に違和感が残ります。キーボードの配置が違うため、割り当てをしても思った操作ができないことがあります。それは、SX-Windowを使うと顕著で、とてもWindowsやRaspberry Pi上でSX-Windowを使う気にはなれません。
そこでX68000 Zであれば、従来のX68000と違和感なく使用することができるのではないでしょうか。
4.私がX68000を買わなかった訳
私はSHARP X1ユーザーで、X68000もぜひ買いたいパソコンでした。しかし、ちょうど社会人になったばかりだったので、貯金してX68000を買おうと準備していました。(他のものを買ってばかりで、貯金が貯まらなかった)
貯金が貯まった頃、X68030が発売されることになりました。しかし期待したX68030は、CPUがMC68030になったくらいでマイナーバージョンアップに留まり、改めて購入する気が失せてしまいました。
そして、ちょうどWindows 3.x系が出てきて、そのプログラムをぜひ作りたいということでPC-98を買ってしまいました。でも、X68000を買わなかったことで、ずっと後悔の気持ちを引きずってきました。やっぱりPC-98やIBM PC互換機にわくわくさせるものはなかったです。
5.今後の展開に期待
X68000 Zは、常に進化していくようです。特に完成品?となるPHASE 2や、X68030をさらにバージョンアップした正当な後継機が出てくるかもしれません。
私もいずれ購入して参加したいと思っています。その参加までプロジェクトが順調に進んで行って欲しいです。
6.ついに製品版がリリースされます
ついに、製品版が出ます。2023年9月28日より、X68000Z PRODUCT EDITIONがリリースされます。その予約が、2023年6月8日から始まりました。
スターターパックであれば、3万円以内で購入できます。楽しみですね。
7.Oh! X最新刊が出る!
まさかのニュースが入り込んで来ました!何と、Oh! Xの最新刊が出ます。昔、ずっと買っていて、休刊になってからもポツポツと復活して、もう復活はないと思っていたところに、出ます!
発売は2024年6月8日と、まだ先は長いですが、買うしかないでしょう。もう、予約が可能です!
⇒2025年6月に延期になってしまいました。注文はしていますが、気長に待ちましょう。
補足:開発環境の構築
私はゲームをする人ではないので、X68000 Zの活用方法がいまひとつ見出せていません。X68000 Zの現状に
- BlueToothがない
- Wi-Fiが使えない
- GPIOのようなI/Oがない
- LANがない
などがあり、ゲーム以外の用途が難しいです。そこで、まずはWindows上に開発環境を用意して、X68000 Z購入前に、どんなことができそうかを試して行きたいと思います。
開発環境は、Windows上に「xdev68k」をインストールしてWindowsで開発します。そして、Windows上で作成した実行ファイルをX68000エミュレータ「XM6」で動作させます。こうしてプログラミングをすることで、X68000 Zを活用できるかどうかを判断したいと思います。
X68000開発環境とX68000エミュレーターは、以下で提供されています。
「hello world」を表示するプログラムを動かすところまでやりました。今後、いろいろ試してX68000の可能性を判断したいと思います。
こんな感じでグラフィックも表示してみましたが、いろいろネットを検索しても参考になるサイトが少ないです。こういった、線やボックス、円などの簡単なグラフィックを表示したい場合は、X-BASICリファレンスを見ると良いです。BASICの解説ですが、そのままC言語でも使える場合が多いです。
画像表示が、これまた大変。普段使っているJPEGやPNGは専用グラフィックローダーでかろうじて表示できる状態です。X68000で良く使われるPIC画像は今扱うのが大変ですし、BMPも256色でようやくプログラムで表示できました。ちょっと減色処理を入れないで256色にしてしまったため、劣化がひどいです。
PCGやスプライトといったX68000特有の機能を使わない、どんな機種でもできるゲーム画面を作ってみました。私はゲームをしない人なので、もし作るとしたら思考系のゲームとなります。これはあくまでも画面を作っただけであり、ゲーム部分は何もできていません。将来的には作ってみるかも。