山の水族館 ~ イトウが群れを成して泳ぐ姿は圧巻

2018年10月4日

北見市の留辺蘂町にある温根湯温泉に、淡水魚を展示する一風変わった水族館があります。それが「山の水族館」(正式名:北の大地の水族館)で、主に海の魚を展示する水族館とは違った楽しみがあり人気です。

一時は存続が危ぶまれながらも、逆転のアイデアで復活した山の水族館について紹介します。

1.山の水族館の概要

出典:Wikimedia Commons

山の水族館は、1978年に開設された歴史のある水族館です。施設は温根湯温泉にある道の駅「おんねゆ温泉」に隣接しています。

郷土館と併設した公共の施設として始まっていて、淡水魚を展示する水族館として昔から貴重でした。しかし知名度自体は高くなく、温根湯温泉の周囲に集まった人がついでに見るような位置付けでした。

しかし、温根湯温泉自体の集客が減り、山の水族館も赤字を計上していたため、2011年に一度休館し、リニューアルが計られることになりました。

そのリニューアル費用は3.5億円と少なく、その中でさまざまな工夫を施したリニューアルとなりました。特に、リニューアルの企画を水族館プロデューサーの「中村 元」さんに頼むことで、ユニークな展示物がいくつも作られました。

created by Rinker
講談社ビーシー
¥2,970 (2024/12/21 15:20:30時点 Amazon調べ-詳細)

そのリニューアル効果は絶大で、山の水族館は一躍人気の水族館になりました。展示されている魚は、北海道の川にいる、イトウオショロコマアメマスヤマメなど、ごく普通にいる魚に過ぎません(一部、外国の魚もいる)。しかしその魚の見せ方に特徴があり、人気を博しています。

2.日本最大の淡水魚イトウ

イトウは、日本固有種の淡水魚では一番大きい魚です。昔、イトウは北海道各地に生息していましたが、今ではごく限られた川に棲むだけになってしまいました。体長は1mを越えますが、昔は2mを越えるほどの個体もいたようです。サケ科の魚であり、食用魚としておなじみのシロザケよりも大きくなります。

生態は良く分かっておらず、川だけで一生を過ごすものもいれば、海と川を往来するものもいます。普段見かけることはない魚なので、山の水族館南富良野町の道の駅など限られた場所でしか見れません。

山の水族館では40匹前後のイトウを展示しているため、それは圧巻な眺めです。これほどの大きさの淡水魚が日本に生息していることに驚くことでしょう。

3.滝つぼの水槽

滝つぼの底から見ることができる水槽があります。魚は落ち込み口でエサを狙っていることが多いですが、どのように流れの中で待機しているのかが分かります。主にいる魚はオショロコマです。

4.屋外水槽

出典:Wikimedia Commons

山の水族館を一躍有名にした水槽です。水槽は屋外に設置されていますが、その一つの側面が屋内に面しています。そのため、四季おりおりの魚の生態が見れます。

特に冬は水面が凍ります。氷の下で魚達がどのように生活しているかが分かるでしょう。

5.オショロコマ

オショロコマは、日本では北海道だけに棲む岩魚の仲間です。北海道はオショロコマの南限に位置しており、オショロコマは川のみで一生を過ごします。しかし北海道よりも北にある地域では、サケのように川と海とを行き来します。(北海道でも稀に海で育つ個体がいるようです)

山の水族館にはオショロコマがたくさんいて、滝の落ち込みで群れを成しています。寒い場所に適応した岩魚なので、南方に棲むアメマスに比べて北海道では分が悪く、生息域を狭められています。そこにニジマスが浸入してきており、オショロコマが絶滅してしまう河川が増えてきました。

オショロコマの生息域にニジマスを放流することは絶対にやめてください。

6.アメマス(エゾイワナ)

本州にいるイワナと同一系統のイワナです。オショロコマよりも暖かい水を好み、氷河時代以降の北海道では生息域を広げてきました。海と繋がっている川では、海との行き来を繰り返すことが多く、これをアメマスと呼びます。アメマスは80cm前後の大きさに成長するのでサケ並ですが、食べてもおいしくありません。

7.付近の観光施設

地図は、地図アプリ「日本周遊マップ」より

山の水族館は、道の駅おんねゆ温泉に隣接しています。道の駅では、北見のおみやげ品が売られています。

おみやげに、「北の大地の水族館もなか」があります。温根湯温泉にある「ふじや菓子舗」の商品で、山の水族館の2周年を記念して作られました。

また、隣接する施設に「果夢林の館」があり、木工品が売られていたり木製遊具で遊べます。木工品は購入できるだけでなく、製作の体験もできます。

出典:Wikimedia Commons

北海道にいる野生動物の中でも人気なのがキタキツネですが、キタキツネを専門に飼っている「北きつね牧場」があります。北海道では野生のキタキツネに会えることも多いですが、エキノコックスの病原菌を持っているため近づくのは危険です。しかし、北きつね牧場にいるキタキツネは予防接種を受けているため心配がなく、キタキツネのかわいらしい仕草を楽しめるでしょう。

このように、温根湯温泉へ行けば、水族館、道の駅など楽しむ場所がたくさんあります。札幌からは少し遠い温根湯温泉ですが、高速道路を活用して行ってみてはいかがでしょうか。