十勝海岸湖沼群

2018年10月24日

北海道の海岸には海跡湖が多く存在しますが、十勝地方の海岸にもあります。それらの湖沼は「十勝海岸湖沼群」と呼ばれています。

どちらかというと知られていない湖沼群ですが、それだけに手つかずの自然が残っています。

今回は、代表的な湖沼について紹介します。

1.長節沼(ちょうぶしぬま)

長節沼

地図は「さっぽろ周辺マップ 帯広」より

長節沼は、十勝川河口に位置する豊頃町大津市街から南側へ進んだ所にあります。周囲は8kmほどの小さな沼で、浅いです。

湖畔にはキャンプ場があり、大津から近いことから夏は賑わいます。またシジミが生息するので、それを目当てに来る人もいます。冬は結氷して無料でワカサギ釣りができますが、道路からは結構歩く必要があります。

2.湧洞沼(ゆうどうぬま)

湧洞沼

地図は「さっぽろ周辺マップ 帯広」より

湧洞沼は、周囲18kmほどもある十勝海岸湖沼群の中で最も大きい沼です。しかし街から離れた場所にあるため、釣り人以外はあまり訪れる人がいません。

昔はキャンプ場があったのですが、閉鎖されてしまいました。それでも、サケ釣りの時期は釣り人で賑わいます。また、コマイやカジカも良く釣れるので、釣り人には人気の場所です。私も子供の頃は親とコマイ釣りをしたものです。

湧洞沼展望台から

出典:豊頃町ホームページ

冬は湧洞沼へ向かう道が閉鎖されます。沼には大きなワカサギがいるのですが、氷の厚さが一定でないことから釣りは危険で、過去には事故もありました。

また、海と繋がったタイミングでニシンが入ることがあり、そのような年は冬でも賑わうことがあります。湧洞沼までは、歩くか、スノーモービルで湖畔まで行くことになるので、十分な装備で向かってください。(裏道を使って行く人がいますが、控えましょう)

シジミも取れますが、浅い場所は取られてしまっていることが多いです。沼には深い部分もあるので注意しましょう。また、海岸線は原生花園になっており、美しいです。

湧洞沼の語源は、アイヌ語の「ユートー」と言われていますが、ユートーは「温泉の沼」を意味するそうです。湧洞沼の周辺に温泉は確認されませんが、鉱泉みたいなものが沸いているのかもしれません。

3.生花苗沼(おいかまないぬま)

生花苗沼

地図は「さっぽろ周辺マップ 広尾」より

生花苗沼は、十勝海岸湖沼群の中では2番目に大きいですが、浅い部分が多いです。ここには大きなシジミが生息していて、1年で1日だけ漁が行われます。そのため、生花苗沼ではシジミを取ってはいけません。

昔は海の家?みたいな施設もあり、水上スキーで賑わっていましたが、今は静かな佇まいです。

4.ホロカヤントウ沼

ホロカヤントウ沼

ホロカヤントウ沼は、十勝海岸湖沼群の中では最も南に位置する小さな沼です。春や夏、秋に訪れる人は少ないのですが、冬は賑わいます。それはワカサギが放流されていて、ワカサギ釣りが盛んなためです。

他の十勝海岸湖沼群にもワカサギがいますが、自然産卵に任せているため釣れるとは限りません。でも、ホロカヤントウではワカサギが毎年放流されているため期待できます。

また、ワカサギ釣りは極寒の中での釣りのため体がすっかり冷えてしまいますが、近くに晩成温泉があるので、帰りに暖まることができます。晩成温泉は、ヨードを含んだ特徴的な泉質を持つ温泉です。太平洋を眺めながらの入浴は、心が和みます。

5.キモントウ沼

キモントウ沼

「さっぽろ周辺マップ 広尾」

キモントウ沼は、内陸に少し入った場所にあるため淡水湖です。また、一般の人が湖畔まで行くことはできず、沼が見える場所もありません。本来なら知られることのない秘沼といったところでしょう。

しかし、キモントウ沼には「ジュンサイ」が生育していて、夏の短い期間に収穫されます。それが夏の風物詩として地元の新聞で紹介されるため、沼の名前は聞いたことがある人もいらっしゃるでしょう。(最近は採らないこともあるようです)

6.アクセス

十勝海岸湖沼群の海岸線にある道路は繋がっていません。そのため、内陸にある国道336号線から枝分かれして各沼へ向かう道を使います。今は舗装されているので問題なく各沼へ行くことができます。

昔、湧洞沼へ行く道は、じゃり道で大変でした。国道336号線もなく、豊頃丘陵の峠を越えて行く難儀な道だったのです。湧洞沼の湖畔は湿地帯で道が悪く、海岸まで出るのが一苦労でした。確かその時代の湧洞沼は禁漁でした。懐かしい思い出です。

十勝海岸湖沼群は、地元の人でも行くことが少ない場所ですが、静けさを求めて1度は行ってもらいたい場所です。1日のんびりと過ごしてみてはいかがでしょうか。