北海道新幹線 札幌編
「JSMAP2 openstreetmap / 国土基本情報20万 札幌を使用 紫の線が新幹線」
北海道新幹線は、2030年度末に札幌まで延伸されます。まだ10年以上(投稿時点)先の話ですが、工事があちこちで始まり、身近に感じられるようになりました。
そこで、北海道新幹線の延伸エリアについて紹介して行きたいと思います。
まずは、札幌編から紹介します。
※OpenStreetMapに、北海道新幹線の札幌延伸ルートが載りました!。ぜひ、日本周遊マップをダウンロードして確認してみてください。
1.札幌駅
最初に用意した地図が大雑把すぎて分かりずらいですが、新幹線の札幌駅ホームは在来線ホームの東側に作られます。ホームの位置が決まるまで、いろいろな案が出て揉めました。驚くことに、現在の札幌駅を作る時に、新幹線が来ることを考慮していませんでした。いくら予算が厳しくて実現が難しかったとしても、将来を見据えてホームを作るべきだったはずです。
晴れて新幹線は来ることになりましたが、ホームが東側に決まったため、在来線への乗り換えが少し不便になりそうです。水平エスカレーターや連絡橋を活用するようですが、本来なら在来線のホームと並列にあるのが理想です。
けれども、在来線のホームを新幹線のホームに割り当てることはできないそうです。今後は人口の減少や快速エアポートの便数も減るわけですから、ホームを空けることはできなかったのでしょうか。
まだまだ問題が山積みのようですので、分かり次第加筆して行きたいと思います。
2.トンネル出口は桑園駅付近
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北海道新幹線はトンネルが多い路線になりますが、札幌直前に作る手稲トンネルの出口は桑園駅付近に決定したようです。手稲山からはずっと離れていて、市街地の地下を走った後に地上へ出る形になります。
桑園駅までトンネルになるのなら札幌駅まで地下にする方が良いと思いますが、それもできないのでしょう。新幹線が来る考慮をしていなかった弊害ですね。
発寒駅の先で、北海道新幹線は函館本線と分かれます。これから、手稲山方面へ進みます。
3.トンネルの廃土はどうする?
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札幌の西側には手稲山が聳えています。新幹線は、この山腹をトンネルで通ります。
ところで、札幌は金属鉱山が多くありました。豊羽鉱山は近年まで稼働していて大きな街がありましたし、金属系の鉱山が各地にありました。そして、手稲山にも手稲鉱山がありました。このように、札幌の山を掘れば何かしらの鉱物が含まれていると考えられます。
そのためトンネルを掘れば、掘り出した土を単に棄てれば良いという訳にはいかないと思います。北海道にある鉱山の大部分は廃坑になっていますが、有害物質の処理で今も稼働しているところがあります。豊羽鉱山や千歳鉱山などを地図で見ると、大きな沈殿池?があるのが分かります。
そもそも土を棄てる場所が決まっていないそうです。何とかするとは思いますが、場当たり的な対処がこれからも続きそうです。
4.札幌から東京間の所要時間
札幌から東京までの所要時間は5時間と見積もられていました。新千歳空港が札幌から離れてはいますが、もう少し時間を短縮する必要があるでしょう。それにはスピードアップが欠かせませんが、区間によってスピードアップの状況が異なってきます。
札幌から青函トンネルまで
新函館北斗から札幌間は、320kmの最高速度で整備されそうです。本来は260kmの予定でしたが、JR北海道の負担で高速化が図られそうです。
整備新幹線の基準で作られるため、最高速は260kmです。新規で作られる区間のため、最高速には余力があるのではないでしょうか。
青函トンネル区間
2019年春から160km運転が行われます。青函トンネルは貨物兼用トンネルのため、速度を抑える必要があります。これ以上の速度アップは難しいと思われますが、今の貨物車両を新幹線車両レベルに向上するなどの案もあるようです。
青函トンネルから盛岡まで
この区間も整備新幹線の基準で作られたため、最高速は260kmです。しかし、新青森から盛岡までの最高速度は320kmまで引き上げられそうです。
盛岡から宇都宮まで
最高速が320kmと、新幹線の最高速を誇る区間です。そして今、新型車両の開発が進められており、実現すれば最高速が360kmまで向上します。この速度で走れば、15分程度の短縮が見込まれるそうです。試作車E956形「ALFA-X」によるテストが進められて、360kmも実現しそうです。
宇都宮から大宮間
首都圏に近づくと最高速が下がり、275kmが最高速度になります。
大宮から東京間
この区間は最高速が110kmと在来線と変わりません。何とかして欲しい区間ですね。
4時間30分程度は期待できるかも
以上、区間ごとに見てきましたが、4時間切りも夢ではないにしろ、4時間30分くらいが現実的なところでしょうか。飛行機を使った時の乗り継ぎを考えると善戦できるとも思いますが、飛行機自体に乗る時間が1時間で済むことを考えると微妙な感じです。
5.すでに駅前は高層マンションの建設ラッシュに
新幹線が開通するのは10年以上(執筆時点)先ですが、それを見越して駅前は高層マンションの建設ラッシュが起きています。札幌駅東側は「創成川イースト」と呼ばれて、札幌で最も熱いエリアです。新幹線の影響力は、やはり大きいと言うことですね。
6.まとめ
北海道新幹線が札幌まで延長されることは歓迎すべきことですが、問題も山積みなところが気になります。五輪や北海道胆振東部地震などの対応も揉めています。まだ時間があるので、問題点を後回しにせず、一つずつ解決して行って欲しいです。
7.投降後の北海道新幹線の動向
要対策土の手稲山口搬入始まる
2021年12月、札樽トンネル掘削で出た要対策土の手稲山口への搬入が始まりました。すべての住民の理解が得られたわけではありませんが、一定の理解が得られたということで始まったようです。
要対策土の量は多くて、手稲山口だけでは足りないそうです。
2020年末におけるトンネル掘削率は35%
北海道新幹線のトンネル掘削状況が、まだ35%程度しか進んでいないそうです。これは、 富丘工区と星置工区の残土受け入れ先が決まっていないことが大きな原因となっていて、すでに1年半程度の遅れだということです。
手稲区山口にオープンハウスを作って、住民の理解を深めてもらう活動をしていますが、残土受け入れは実現するでしょうか。もっと人の少なくて安全な場所の方が良いと思いますが。
掘削残土の候補地に手稲区山口が浮上
有害な掘削残土の行先が難航する中、2020年になって手稲区山口が有力な候補となっています。7月から事前調査が行われていますが、住人の反対もあって今後がどうなるか注視していきたいです。
札樽トンネル工事が2019年8月末より開始
着工が遅れていた札樽トンネルの工事ですが、ようやく2019年8月末より開始されます。まずは、有害な残土の問題が出ない区間から工事を開始するとのことです。
残土の問題に関しては、厚別区の山本地区や手稲区の金山地区が候補に挙がっていますが、反対意見も多くて難航しています。
⇒2019/9現在、住民の猛烈な反対を受けています。住民説明会が行われていますが、かなり厳しいと思います。
3年目の北海道新幹線の平均乗車率は24%
札幌延伸まで苦戦が予想される北海道新幹線ですが、3年目の平均乗車率が24%というちょっとショックな数字が出ました。(H30/4~H31/2まで)
これは、胆振東部地震などの影響もありますが、低すぎる数字です。春のダイヤ改正で所要時間がちょっとだけ短くなりますが、劇的な所要時間の短縮が必要のようです。JR北海道は、北海道区間も320km運転を目指すそうです。それでも東京まで4時間30分の予想なのは、厳しい状況でしょう。
2019年春のダイヤ改正で、東京~新函館北斗間は3時間58分に
飛行機との競合で、移動時間が4時間以内であれば新幹線に分があると言われていますが、現在の東京~新函館間は4時間2分かかります。そこで、青函トンネル内の速度を140kmから160kmに上げることで4時間切りを実現します。
しかし、新函館北斗駅から函館駅まで乗り換えがあるので、厳密には4時間以内というわけでもないです。また、函館空港は市街地から近いので、そのハンデもありますね。
航空機との競争のためには、350km運転は欠かせないと思いますが、ハードルは高そうです。
JR北海道の2019年3月期業績予想は過去最悪の赤字予想に
2018年11月9日に発表されたJR北海道の2019年度の業績は、過去最大の赤字予想になりました。この中で、北海道新幹線の赤字が100億円を超える点が問題になっています。
当初から函館までの営業では年100億円以上の赤字が予想されていましたが、2030年までは続くことになります。ローカル線の赤字がクローズアップされますが赤字額自体は少なく、新幹線の大きな赤字がこれからも問題となりそうです。札幌までつながれば大丈夫と言われていますが、10年後に航空機の料金が安くなる可能性もありますし、不透明さが際立っています。