大雪高原温泉高原沼 ~ 秋の紅葉がみごとです
大雪高原温泉は、北海道でも有数の高所(1,260m)にある1件宿の温泉です。人里離れた山の中にある秘湯で、1年の中で営業する日は、たったの123日程度しかありません。このような条件でも営業が続くのは、温泉の良さだけでなく、周囲の自然が豊かだからです。
それでは大雪高原温泉の魅力を紹介しましょう。
1.大雪高原温泉の概要
大雪湖のインレット部には大雪高原大橋が架かっていて、その脇から石狩川上流へ町道高原温泉線が続いています。その町道を遡るとゲートがあり、直進は層雲峡本流林道で、町道はヤンベタップ川沿いの支線に入ります。そして町道を遡って行くと終点に大雪高原山荘があります。大雪高原温泉の宿は、大雪高原山荘しかありません。
大雪高原山荘は、人里離れた山の中にありますが、なかなか立派な温泉施設です。出来てから時間が経って周りと調和してきましたが、最初の頃はビックリしたものです。
温泉は白濁した硫黄泉で、温泉らしさが抜群です。山荘の周囲を歩くと、あちこちで白煙が上がっています。その中にはボッケになって煮え繰り返っているところもあり、これぞ天然温泉といった趣です。
登山後の日帰り入浴に絶好の温泉ですが、宿泊して満天の星を眺めながら露天風呂を楽しむのも良いでしょう。
2.高原沼
大雪高原温泉に多く人が来る理由としては、高原沼の存在が大きいです。高原沼という名称は、高原沼周辺に散在する沼の総称で呼ばれることが多いです。高原沼は、高根ヶ原の地滑りによってできたと言われており、数えきれないほどの沼があるエリアに1周できる周遊コースが付けられています。この周遊コースは、健康な人であれば無理なく歩くことができます。(※)
※平成28年度の台風災害により、空沼付近から先の下山道が通行止めになっていましたが、令和元年で解除になりました。しかし、登山に慣れた人でないと危険だということで、軽装の人は控えましょう。
高原沼周辺はヒグマの生息域であるため、ヒグマに対するレクチャーを受けなければなりません。高原沼への入り口には「ヒグマ情報センター」があり、施設内を通らないと周遊コースに入れません。指導員によるレクチャーを受けた後で山へ入ることができます。
2024年9月3日から登山道が一時閉鎖⇒一部解除
2024年9月3日に、沼巡りコース緑沼付近で、監視員がヒグマに追われる事件が起こりました。遭遇したヒグマは監視員から離れるどころか近づく動作を行い、監視員は熊スプレーを構えながら後ずさりをしてやり過ごしました。しばらくすると、ヒグマは遊歩道から外れて茂みに入っていきました。
これにより、登山道が一時的に閉鎖になっています。再開の時期はまだ分かりません。沼巡りコースに行く予定の人は十分注意してください。⇒緑沼付近まで、一部解除になりました。
周遊コースは、緑沼、湯の沼、えぞ沼、大学沼、式部沼、高原沼、空沼などの湖畔を通ります。また、道端には高山植物が多く、登山が未経験の人にも十分に楽しめます。
そして高原沼がここまで有名なのは、秋の紅葉です。高根ヶ原の斜面から高原沼にかけての一帯が色付く景色は、日本有数の紅葉の名所と言われています。紅葉の時期では大雪高原温泉への道はマイカー規制されるため、レイクサイドからのシャトルバスを利用する必要があります。
高原沼の周遊コース中にも、温泉(野湯)があります。その代表的な温泉を紹介します。
※今まで撮った写真をなぜか紛失してしまったため、雪壁温泉は写真なしです。
ヤンベ温泉
周遊コースをしばらく進むと、噴気活動が活発なヤンベ温泉に到着します。ここは大雪高原温泉よりも噴気活動が活発で、火口ではと思わせる場所です。ここまでは行きと帰りが一緒の道でしたが、これより先は、行きと帰りの道が分かれます。
帰りの道では、ヤンベ温泉の全貌が見える良い場所があります。その展望台付近も噴気活動があり、地熱のエネルギーが豊富ことが分かります。
雪壁温泉
周遊コースにある空沼の先に、雪壁温泉があります。ここは噴気活動のみで、お湯の流れは確認できません。周遊コースの一番奥に位置するため、山に慣れていない人は少し心細く感じるかもしれません。
3.緑岳への登山口
大雪高原温泉は、大雪山の緑岳(2020m)の登山口になっています。登山口には登山事務所があるので、記帳してから登りましょう。
最初から急登が続く苦しい道から始まります。急登から解放されると第一、第二花園が広がります。一帯はチングルマなどの高山植物がいっぱいで、疲れも忘れてしまうでしょう。
第二花園を過ぎると、緑岳をトラバースする緩やかな道が続きます。そして道が山頂へ向かうようになると、山頂までの岩場の急登になります。ここは日差しを遮るものがない岩場なので、夏場は暑くて苦しいです。また不安定な岩もあるので、注意して登りましょう。
苦しい登りですが見晴らしは抜群で、眼下に高原沼一帯が広がり、高根ヶ原、忠別岳、五色ヶ原、トムラウシなども見え、苦しさも忘れるでしょう。そして紅葉も、個人的に大雪で1番と思えるほど素晴らしいです。
緑岳山頂は、穏やかな円頂丘になっています。余力があれば、小泉岳や白雲岳へ足を延ばすと良いでしょう。一帯は大雪山最大のお花畑で、ホソバウルップソウ(7月上旬)、クモイリンドウ(8月上旬)、チョウノスケソウ(7月下旬)などの珍しい高山植物もあります。
4.大雪高原温泉の地図/行動ログ
大雪高原温泉の地図ですが、スマートフォン用のYAMAPアプリを使うと良いでしょう。
地図だけでなく、登った時のログも取れますから一石二鳥です。
YAMAPアプリで選択する地図は、「大雪山・旭岳・トムラウシ」を選ぶと良いです。高原沼周辺だけでなく、緑岳への登山コースも明記されています。
使い方は、以下の投稿を参考にしてください。
5.アクセス
大雪高原温泉へ行く公共交通機関はありません。9月下旬から10月上旬に運行されるシャトルバスも、大雪湖畔のレイクサイドからになります。
バスの運行は、道北バスが行っています。時刻表を予め手に入れておくと良いでしょう。
大雪高原温泉へ行くには、車の利用が現実的でしょう。シャトルバスが運行される時期以外は大雪高原温泉まで行けますが、ダート走行になるので不慣れな人は十分に注意してください。また、大雪高原山荘の前は広い駐車場になっていますが、基本的に山荘利用者のためのものです。車中泊をする場合も、邪魔にならないように心掛けてください。
2024年の車両交通規制は
紅葉の時期は、大雪湖から大雪高原温泉までの道が昼間通行止めになります(※)。2024年は、9月21日から9月29日までが通行止めになります。 この期間はシャトルバスを利用してください。料金(2024年)は片道1,000円で駐車場利用料が片道250円です。
※温泉客のために、16時30分開放、19時閉鎖となるようです。要確認!
6.下界の喧騒を忘れてのんびりしよう
大雪高原温泉では携帯電話が使えません。人が多く訪れるので不安はあまり感じませんが、下界から隔絶された世界です。いつどこでも呼び出しを食らってしまう現代において、隔絶された世界でゆっくりすることも時には大事でしょう。
温泉に入ってのんびりと高原の爽やかな空気を吸いながら時を過ごし、体をリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。のんびりするのであれば、紅葉の時期は大混雑するので、夏の時期が良いでしょう。