ニセコ 大湯沼 ~ 極上の硫黄泉
ニセコ山系には温泉がとても多いですが、まだ火山活動が続く山頂エリアには新鮮な自然湧出の源泉があります。一つは五色温泉があるエリアで、もう一つが大湯沼を泉源とする湯本温泉です。
今回、緊急投稿になった理由が、大湯沼付近で行われていた地熱発電の調査で、2023年6月29日、井戸から大量の蒸気が噴出されたことによります。もしかしたら、大湯沼の今後にも影響がありそうなので、記事にしてみました。
1.大湯沼とは
大湯沼は、ニセコ山系のチセヌプリの麓にある、温泉の沼です。過去には間欠泉でもあったようで、硫黄の採掘も行われていました。今は、湯元温泉の温泉施設「蘭越町交流促進センター雪秩父」の泉源になっています。
有史になってからは噴火の記録がないニセコ山系ですが、荒々しい火山の山肌を持つイワヲヌプリや、大湯沼周辺では火山活動が未だ続いており、豊かな温泉を育んでいます。
実は、大湯沼に流れ込む馬場川の上流部には小湯沼もあり、こちらも温泉が湧いています。小湯沼と、その下流の馬場川で温泉マニアの人たちの入浴報告がありますが、これは危険ですのでやめましょう。このように、一帯は地熱資源が豊富なため、地熱資源調査も行われています。
2.蘭越町交流促進センター雪秩父
蘭越町交流促進センター雪秩父(以降、雪秩父)は、私が札幌にいた時に、大のお気に入りだった温泉施設です。湯量豊富な大湯沼を泉源としている(当然、硫黄泉)ので、お湯の新鮮さが抜群です。また、別の泉源である鉄鉱泉もあり、こちらも素晴らしいお湯です。
私が行った頃はまだ古い建物でした。その頃は国民宿舎で宿泊ができました(今は日帰り専用施設)。内湯がひなびた感じでしたが、鉄鉱泉の良さが生かされたとても良い温泉でした。露天風呂の方は、昔とあまり変わっていないようです。
その露天風呂ですが、開放感が抜群で、雪秩父の人気の理由となっています。特に、女湯には泥風呂があり、泥パックを楽しむ女性に人気です。男湯には残念ながらないのです。
登山やスキー、ニセコ観光でぜひ利用してみてください。ほんと素晴らしい温泉です。
3.地熱発電の掘削現場で蒸気噴出
2023年6月29日、付近で三井石油開発が進めていた地熱発電の掘削現場で、突然蒸気が噴出して制御がきかなくなりました。周辺の木々が白くなった(石英)ことで、ちょっとした水蒸気噴火のように見えました。
蒸気には硫化水素も含まれており、投稿時点で4人の中毒患者が出ています(※因果関係不明も含む)。また、噴出現場の水溜まりからは、飲料水の基準の1,590倍のヒ素が検出されています。これにより、周辺で利用される水に懸念が出ています。
ニュースで見る三井石油開発の対応は後手後手で、隠ぺい体質が見え隠れします。言いたいことは山ほどありますが、私が言うことではないと思うので、ここまでにします。
私が心配なのは、大湯沼とその温泉を利用する雪秩父の今後です。これだけ地下のエネルギーが噴出すれば、大湯沼の地熱エネルギーにも影響がないとは言えないと思います。もしかしたら涸れてしまうこともあるかもしれません。また、ヒ素の流入はどうなのでしょう。このニュースは、これから逐次報告したいと思います。
2023年7月9日 ヒ素2100倍検出される
2023年7月9日に、採掘現場では飲料水の基準の2100倍のヒ素が検出されました。噴気を地下に戻す作業を行うようですが、すぐとはならないようです。⇒16日には2700倍のヒ素が検出されています。
2023年7月15日 体調不良者は15人に
2023年7月15日までに、体調不良を訴えている人が15人に及んでいます。硫化水素ガスの影響が大きいと思われますが、それぞれ症状がある人の原因を調査中です。
2023年8月1日
事故が発生してから一か月が経過しましたが、まだ収束が見えない状況です。ここで起きた事件を載せると風評被害にも繋がることから控えますが、少しでも早く蒸気の噴出が止まって欲しいです。
2023年8月19日
ようやく蒸気の噴出がほぼ止まったようです。これで終わりになって欲しいですね。⇒28日朝で井戸の埋め戻し作業が完了しました。