夕張岳 ~ ユウバリソウが咲く天上の花園
2023年1月31日
夕張山地に属する夕張岳は、独立峰と言っていいくらい、一つの小世界を作っています。その夕張岳への登山は変化に富んでいて、山頂に至るまで見どころがいっぱいです。
そこで今回は、夕張岳をご紹介しましょう。
1.夕張岳ヒュッテまで
夕張岳の登山口へ行く公共交通機関は、もちろんありません。登山口にある夕張岳ヒュッテまでは、車で行く必要があります。
まずは、夕張川をさかのぼって、シューパロ湖へ行きます。芦別方面へ抜ける国道452号線を進み、シューパロ湖湖畔をしばらく走ると、シューパロ湖に掛かる白金橋があります。そして白金橋を渡ってからは、ひらすらまっすぐ進みます。
道はペンケモユーパロ川沿いを進むようになり、舗装も切れてダートになります。このダート道は、日高山脈の林道並みに悪いです。途中、谷底から高いところを通る部分があり、路肩が弱いところで対向車が来るとたいへんです。十分に注意しましょう。
夕張岳ヒュッテより500m前に駐車場がありますが、満車になってさらに夕張岳ヒュッテから離れた場所に駐車しなければならないときがあります。また、途中の路肩が弱い部分は災害でしばしば通れなくなるので、空知森林管理署の最新情報を集めておきましょう。
2.登山口から石原平まで
夕張岳の登山口は、夕張岳ヒュッテより少し手前にある「冷水コース」登山口と、夕張岳ヒュッテから始まる「馬の背コース」登山口の2つがあります。これら2つのコースは途中で合流するので、どちらを選んでも良いです。私は冷水コースを使いましたが、夕張岳ヒュッテに寄りたい人は馬の背コースも利用すると良いでしょう。
「登山ルートは、登った時のGPSログを元に作成しました」
登山口からは急登が多いです。夕張岳登山は最初がきつくて、上部の湿原に出てしまえば天空散歩になります。より、最初は急がずに我慢の登山をしましょう。途中からシラネアオイが咲いています。そして石原平に着くと、北海道有数のシラネアオイ群生地があります。これは、ほんとうに素晴らしいです。6月中旬から下旬ころが良いでしょう。
3.望岳台から「吹き通し」まで
石原平からしばらく進むと、望岳台に着きます。ここは、芦別岳が望める展望の良い場所です。そして、ここから先が、夕張岳の花園になります。右にある前岳の急峻な山容も素晴らしいです(登るだけなら、この山を登りたい)。
最初は沢沿いになり、エゾノリュウキンカやチシマキンバイなどの湿地性の花が目立ちます。さらに進むと木道が現れて、尾瀬のような湿原歩きになります。高山植物がいっぱい咲いていて、なかなか先に進めなくなります。帰りの時間も考えて楽しんでください。
ガマ岩、ヒョウタン池など、特徴のある地形も楽しませてくれます。
ユウバリコザクラなどの固有種も咲いています。一つの山でこれだけの高山植物を楽しめるのは驚きです。
4.吹き通し
吹き通しは、山頂へ向かう登りの前にある風衝地です。ここで突然、砂礫の一帯になり、ユウバリソウなどの特殊な高山植物のみが咲いています。ここは、超塩基性の蛇紋岩が露出する砂礫地のため、一般の高山植物が育ちません。そのため、ユウバリソウなどの超塩基性に耐えられる高山植物が咲いています。
ユウバリソウは、ホソバウルップソウの白花ような高山植物です。6月中旬から下旬、7月初めにかけて咲きますが、ホソバウルップソウと同様に、咲いている時期を合わせるのが難しい花です。ぴったり花期が合うためには、何度か足を運ばなければならないかもしれません。
5.山頂まで
吹き通しから山頂へは、再び登りが急になります。しかし距離はさほどありませんから、最後のひと踏ん張りです。
注意として、山頂エリアはヒグマとの遭遇が多いです。今のところ人身事故はないようですが、ヒグマが襲ってきて、体の上を通り過ぎて行ったなんて山行報告もありました。このように、ヒグマを見たという報告は多いですから、十分に注意しましょう。
山頂は南北に長く、広いです。眺めも良く、日高山脈や十勝岳連峰、大雪山などが見渡せます。また、前岳方面を見ると、結構歩いてきたことが分かります。人間の足ってすごいですね。
登山データ
登山時間:登り4時間30分
標高差:1,100m
6.夕張岳ヒュッテ
夕張岳には、登山口に夕張岳ヒュッテがあります。夕張岳ヒュッテは、北海道では数少ない管理人が常駐する山小屋です。ただし、食事の提供はなく、あくまでも素泊まり専用の山小屋です。本州のような食事付き山小屋は北海道にはありません。
素泊まり料金は、中学生以上1,500円(2022年度)です。基本的に予約が必要なことに注意してください。本州の山小屋から見ると、いろいろルールがあるので、以下サイトで確認してください。
7.花の名山巡りもおすすめ
日本百名山には選ばれていない夕張岳ですが(200名山には選ばれている)、花の百名山(田中澄江 著)には選ばれています。登山を始めると日本百名山の方に関心が集まりますが、山頂まで花を見ながら辛さを忘れて登山ができる花の百名山も捨てがたいです。
北海道には、花の百名山に選ばれた山が16座もあります。ぜひ、花の百名山も制覇してください。
※今回、金山コースに触れていませんが、ベテラン以外は歩かない方が良いです。
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Posted by kunimiyasoft
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