ユニ石狩岳 ~ コマクサとエゾツツジが見事
ユニ石狩岳(1,756m)は、石狩連峰の東側に位置する中級山岳であり、三国峠の西側にあります。石狩岳(1,967m)登山のついでに登られることが多い山ですが、単独の山としても十分な魅力があり、日帰り登山にも適しています。
それでは、紹介しましょう。
1.ユニ石狩岳のある場所
ユニ石狩岳は、十勝と石狩(上川)を結ぶ十石峠(1,576m)の東側に聳えています。登山道は十勝三股側にありますが、以前は層雲峡側(ユニ石狩川コース)にもありました。そのユニ石狩川コースは、山頂まで短時間で登ることができたため、メインルートとして利用されていました。
ところが幾度の災害により、ユニ石狩川コースは使えない状態になってしまい(木材伐採の機会が来ないと復旧しないでしょう)、十勝三股コースが唯一の登山道となっています。
その十勝三股コースですが、こちらもニペソツ山の幌加温泉コース同様、以前は整備の良くない登山道でした。しかし、ユニ石狩川コースが使えなくなってからは、整備がされるようになりました。昔は笹を掻き分けて進む場所があって、斜面を登ろうとしても押し返されて大変な目に遭ったものです(後述あり)。
ユニ石狩岳の登山は日帰りで十分ですが、十勝三股エリアという、人がほとんど住まない場所にあるため、ビバーク用の非常用装備を怠らないようにしてください。
2.登山口まで
かつてユニ石狩岳登山口までは、音更川本流林道をまっすぐ進んで行けば到着できる分かりやすいものでした。しかし、2016年台風により音更川本流林道が不通になったため、幾つかの林道を使って遠回りして行かなければならなくなりました。詳しくは、北海道森林管理局のサイトで確認してください。
3.十石峠まで
ユニ石狩岳登山口からは、まずは十石峠を目指します。しばらくは傾斜の緩い登山道が続きます。それもそのはず、もともとは林道(作業道)だったのです。そのため、少し退屈な登山を強いられます。林道跡が終わって本来の登山道になるとトラバース気味の道になり、ほどなく水場に到着します。
水場から先は急登になります。昔は笹が密集して進むのが大変だったところです。ここを登り切ると登山道は再び明瞭になり、森林限界を越えてからは十勝三股盆地を俯瞰できるようになります。明るい道になって、ナキウサギの声が聴こえる楽しい登山になります。十石峠も、もうすぐです。
十石峠は、峠というよりは小さなコブにあります。そのため、ユニ石狩岳や石狩連峰、ニペソツ山などが見える大展望が広がります。
十石峠からユニ石狩岳へ登山ルートが続きますが、他に音更山へ向かう登山ルートがあります。そちらは上級者向けルートですから、もっと登山技術を向上させてから挑みましょう。
4.ユニ石狩岳山頂へ
十石峠からユニ石狩岳山頂へは、一旦下ります。そして、本当の峠部分のコルを越えて、ユニ石狩岳山頂へ向かいます。
再び森林限界を抜けると、もう遮る物はありません。ザレた斜面をジグを切りながら山頂へ向かいます。なかなかの急斜面で少し辛いですが、ここからコマクサとエゾツツジがいっぱい咲いていているため、苦しさも吹き飛びます。特にエゾツツジは、なかなか見応えがあります。コマクサも不安定な斜面にいっぱい咲いていて、強い花だと再認識させてくれます。
そうこうしている内に、山頂へは意外と早く到達します。ここで昼食を取りながら、東大雪の山々を堪能しましょう。音更山や石狩岳は、一段と高く聳えます。まだ登っていない人は、必ず登ろうと決意することでしょう。
登山データ
登山時間:登り3時間40分
標高差:990m
5.静かで原始的な登山におすすめ!
ユニ石狩岳登山では、下界から離れた場所に身を置いていることを実感します。国道などの道が見えるとは言え、人家がほとんどないエリアの登山は、まるで別世界に来たかのような感覚を強く受けます。これが魅力でもあり、怖さでもあります。何かあった時は、他とは違う困難さがあります。
そのため、登山の装備を怠らないようにしましょう。できれば、スマートフォンだけではなく、ハンドヘルドGPS装置があると安心です。また、ツエルトや非常食も十分に用意しましょう。とにかく、何かあっても助けが来るまでは時間がかかります。
このように、自然の厳しさを実感するユニ石狩岳登山になりますが、だからこそ達成感も大きいです。登山に自信がついてきたら、ぜひとも腕試しに登ってみましょう。