ペケレベツ岳 ~ 日高山脈にありながらお手軽登山
ペケレベツ岳(1,532m)は、佐幌岳(1,060m)から南へ高度を上げる日高山脈において、最初に1,500mを越える山です。さぞかし登山が大変なのではと思ってしまいますが、実際にはごく普通の登山ができる、お手軽な山です。それと言うのも、日勝峠(1,023m)の6合目(約800m)付近に登山口があるからです。
10月になり、大雪山などの高山には登れなくなった夏山登山者にとっては、貴重な山となります。それでは紹介していきましょう。
1.登山口から国境稜線(1,343ピーク)まで
「登山ルートは、登った時のGPSログを元に作成しました」
ペケレベツ岳の登山道は2016年台風の被害を免れましたが、それまでは登山道の整備が行われない年もあって、笹漕ぎに難儀することもありました。しかしながら、2016年台風で周囲の山の登山道が不通になったことで、ペケレベツ岳の登山道が再び注目されて整備されました。今後はどうなるか分かりませんが、良い状態が保たれています。
昔は、最初の笹道を進むのが大変でした。それを越えると林の中を進む歩きやすい登山道になります。国道も近いため、日高山脈の山深さを感じることはなく、快適に登ることができます。
しばらく進むと、大岩の間を縫って進むところを通ります。ここは、「母の胎内」と命名されている場所です。ここを過ぎると、ダケカンバと笹の登山道に変わってきます。一時期は、ここの笹も伸び放題で大変でした。
登り切ると、1,343mピークに到着します。
2. 1,343ピークから山頂へ
1,343mピークからは、コルまで下ります。気分的には山頂が近いイメージですが、実は山頂まで1時間弱かかり、しかも急登になります。そのため、雪があると足が踏ん張れずに難儀することもあります。ここは急ぎ過ぎずに、周りの景色を楽しみながら登りましょう。
急登を登り切ったところが山頂かと錯覚しますが、もう少し登った先が山頂です。
3.山頂からの眺め
山頂は細長くて見晴らしも良いです。しかしながら、他の日高山脈の高山に登った時のような感動は、残念ながら少ないです。それは、眼下の登山口にある除雪センターが意外と近くに見えるなど、日高山脈登山の一番の特徴である、原始性を感じられないからではと思います。
それでも、遠くに見える、然別や十勝岳連峰、大雪山方面を眺めると、北海道の広さを感じます。十勝岳連峰の雪の多さが特に目立ちます。同じような高さでも、十勝岳連峰の方が日高山脈よりもずっと雪が多いですね。
登山データ
登山時間:登り2時間20分
標高差:730m
4. 6月と10月がおすすめ
ペケレベツ岳に登るのなら、6月と10月がおすすめです。
6月は、野花が登山道脇にたくさん咲きます。特に、エゾイチゲとシラネアオイが多く咲くので、楽しい登山になります。逆に、これらが咲き終わるとペケレベツ岳の登山道には花があまりなくて、物足りないです。夏の代表的な高山植物であるチングルマなどがないので、6月に登るのが良いと思います。
また、10月になると、隣の芽室岳(1,754m)やその南側にある山々には雪が積もります。特に天候が悪化すると危険な状態になるため、冬山装備の冬山経験者でないと安易に登るべきではありません。
しかし、ペケレベツ岳ならば標高は1,500mを越えますが、文化の日くらいまでは夏山登山者でも登れるでしょう。もちろん、天気が悪い時は、きっぱりと諦めてください。さらに、登山道に雪があることもありますから、スパッツや軽アイゼン、防寒着もあった方が良いでしょう。
このように、日高山脈にありながらペケレベツ岳は、札幌周辺の山々とあまり変わらない登山ができる山です。アプローチが簡単で軽い登山で済ませたい時に、ぜひ登ってみてください。