日本の民間ロケット射場 ~ 小型ロケット需要に応えます

2022年10月22日

地図アプリ「日本周遊マップ」に種子島内之浦ロケット射場を載せていますが、せっかくなので新バージョン(ver 2.742)に民間のロケット射場を追加しました。

民間のロケット射場は、需要が見込まれる小型ロケットの打ち上げ用に造られています。それでは、簡単にご紹介します。

1.インターステラテクノロジズ ロケット射場

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北海道大樹町当縁川河口に、インターステラテクノロジズ社ロケット射場があります。近くには多目的航空公園がありますし、帯広空港からもそれほど離れていない良い立地条件にあります。

今まではLaunch Complex-0(LC-0)射場を使ってMOMOロケットを打ち上げてきましたが、いよいよ人工衛星打ち上げ用のZEROロケット用であるLaunch Complex-1(LC-1)が稼働します。

ZEROの打ち上げは2023年度に予定されています。(今のところ、予定変更はありません⇒2024年度に延期されたみたいです。⇒2024年度以降となりました。正直、2024年度は無理だと思います)

Leafletを使った地図も用意しました。

2.スペースワン ロケット射場

和歌山県東牟婁郡串本町田原地区に、スペースワン社ロケット射場が建設中です(調べましたが、具体的な場所を確認できませんでした)。スペースワン社は、キヤノン電子株式会社、株式会社 IHI エアロスペース、清水建設株式会社、株式会社日本政策投資銀行が出資しており、大きな期待が持たれています。

スペースワン社のロケットは、固体燃料を用いていることが特徴です。そのため、燃料の注入作業がないことから迅速な打ち上げが行えます。依頼から7日程度で打ち上げもできるようです。これであれば、他との明らかな差別化ができると思います。

しかし、予定が大幅に遅延しており、2017年度に初打ち上げの予定が、直近では2023年2月を予定しています。ちょっと遅れ過ぎなのではと心配しています。

2022年12月22日、発射場が報道機関に公開されました。思ったより立派な施設で、2023年2月に打ち上げ予定は変わらずです。期待しましょう。

2023年夏の打ち上げに延期されました。ロケットの部品調達が遅れているとのことですが、外部調達しているってことでしょうか。

2023年8月20日に、再度延期が発表されました。時期は今のところ未定で、打ち上げ2か月前に報告するということです。

2024年3月9日初号機打ち上げが決定しました。ようやくですね。

Leafletを使った地図も用意しました。

初号機

2024年3月9日11時過ぎに打ち上げを予定していた初号機ですが、中止になりました。打ち上げ時刻に船舶が入り込んでしまい、安全の確保ができなかったからだそうです。この問題は大樹でも起こることで、地元との十分な話し合いが不可欠でしょう。

2024年3月13日11時1分過ぎに打ち上げが行われましたが、打ち上げ直後に爆発、炎上しました。爆破命令が行われたようです。個人的な感想ではテスト不足な感じがします。本来なら十分なテストを行ってから本番に臨むべきだったのではと思います。

何年も遅れたプロジェクトで今回の結果は正直痛いと思います。次に繋がって欲しいです。

初号機の爆破命令が出た理由は、予測した推力に実際の推力が達しなかったためとのことです。しかしながら、予測した推力の方が間違っていたようで、次回はその辺の見直しと厳しいしきい値を見直すようです。

2号機

2024年12月に予定されています。⇒12月14日に決まりました。

3.世界の競合と戦えるか

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StockSnapによるPixabayからの画像

小型ロケット需要を見越して、世界各国の民間会社がロケット開発しています。特に先行しているのが、ロケットラボ社エレクトロンロケットで、既に数々の実績が上がっています。これらのロケットと差別化をどう図れるかがポイントとなりそうです。

アストラ・スペース社アストラロケットは、打ち上げ失敗が重なって開発を断念しました(より大きいロケット開発に移行したようです)。厳しい競争になるとは思いますが、やっぱり駄目でしたという結果だけは避けて欲しいです。少なくとも、ある程度の実績を残して欲しいと願わずにいられません。

今後、追記予定。

世界の民間ロケット会社が小型ロケット開発を控え始めた!

2023年ですが、世界の民間ロケット会社が小型ロケットの開発を控え始める傾向が見られます。

3Dプリントを多用してロケット開発をしている「レラティビティスペース社」は、先日、テラン1ロケットを打ち上げましたが(失敗)、もうこれ以上打ち上げは行わず、大型ロケットのテランRロケットの開発に専念すると発表がありました。

また、民間ロケット会社の先頭に立つロケットラボ社も、大型のロケット開発に軸を移し始めています。このように、小型ロケット需要は思ったよりも期待できない状況が生まれています。これは、大型ロケットに相乗りする小型衛星も多くあり、その方が格安であるのは間違いありません。確かに時を選べない点はありますが、ベンチャー企業は、少しでも打ち上げ費用を抑えたいのでしょう。

今後、日本の民間ロケット会社がどう対応するのか、見守りたいと思います。