夜叉神峠と徳本峠 ~ 山岳景観が素晴らしい
山に登って山頂から見る景色は素晴らしいですが、見晴らし抜群の場所で山を眺めることも感動的です。そんな眺めの良い展望台は多くありますが、やはり日本を代表する山が見える展望台は素晴らしいの一言です。
その素晴らしい展望台、夜叉神峠と徳本峠をご紹介します。
1.夜叉神峠(やしゃじんとうげ)
夜叉神峠(1,770m)は、甲府から南アルプス北部の登山口、広河原へ向かう途中にある峠です。広河原へ向かう南アルプススーパー林道は、夜叉神峠近くでトンネルになります。そのため、トンネルの前に夜叉神峠登山口があり、そこから歩いて夜叉神峠へ向かいます。
夜叉神峠登山口は標高1,390mほどなので、夜叉神峠頂上までは400m弱の登りになります。これは、歩行時間が1時間15分と、登山までは行きませんがハイキング程度のアルバイトがあります。
夜叉神峠からの北岳(3,193m)や間ノ岳(3,190m)、農鳥岳(3,026m)で構成される白峰三山の雄大さは、素晴らしいの一言です。どの山もどっしりと構えていて、普段見る山が小兵にしか見えません。いつまで眺めていても飽きない風景です。これら三山は、登るよりも、こうして夜叉神峠から眺める方が感動的です。それは、北岳に登ると、他の山が眼下になってしまうからです。
夜叉神峠からは、白鳳三山へ登山道が伸びています。その白鳳三山からの白峰三山の眺めも格別です。特に北岳の迫力が増しますので、ぜひ白鳳三山にも足を伸ばしてください。
夜叉神峠登山口まで
東京から中央線で甲府まで進み、広河原行きのバスに乗ります。また、マイカーの場合は、夜叉神峠登山口駐車場に車を停めることができます。
2.徳本峠(とくごうとうげ)
徳本峠(2,140m)は、今の梓川沿いに上高地へ行く道がない時代、島々谷を遡って上高地へ向かう際に越える峠として賑わいました。そして今も、霞沢岳(2,646m)や大滝山(2,616m)へ向かう中継点として人が集まります。
徳本峠から見る穂高連峰は、日本アルプスの名称が広まるきっかけとなりました。日本の山は、総じて穏やかな山容の山が多く、険しくとも脆い岩で構成されていることが多いです。
ところが穂高連峰は、安山岩で構成されてはいますが、隆起して三千メートルを超える高さ(奥穂高岳3,190m)になり、氷河期には氷河が発達しました。そのため、鋭い山容を持ち、カール地形も顕著で本場アルプスの山と似ています。日本アルプスの呼び名は個人的には好きではありませんが、槍、穂高連峰であれば、その名もそうおかしくはないと思います。
※実際、日本アルプスの名称は日本人によるものではなく、ウィリアム・ゴーランドが槍ヶ岳を登った際に命名したそうです。また、ウォルター・ウェストンが世に広めました。
初めて見る穂高連峰には驚かされました。これが本当に日本の風景なのかとびっくりしたものです。大きな岩山が急峻に聳え立つ風景は、あまりにも普段見る山とかけ離れていて別世界のようでした。やはり写真で見るのと実際の目で見るのとは大違いであることを実感しました。
いつまでも、この光景が残って欲しいと願わずにいられません。
松本駅から新島々まで
東京から中央線に乗り松本駅で下車したら、アルピコ交通の上高地線に乗り新島々まで行きます。昔は松本電気鉄道でした。
松本から上高地まで行く直通バスもありますので、時間が合う人はその方が良いかもしれません。
新島々から上高地へ
新島々から上高地行きのバスに乗ります。そして、上高地バスターミナルに着いたら、梓川の左岸(上流から下流に向いて)を歩いて明神へ行きます。明神の少し先で、徳本峠へ行く登山道があります。
徳本峠小屋
明神から徳本峠までは、3時間15分ほどの登山になります。こちらは、本格的な登山装備で行くと良いでしょう。徳本峠に着くと、徳本峠小屋があります。
徳本峠小屋は、大正十二年から続く歴史のある山小屋です。一見、営業しているの?という古い建物が前面にありますが、これは本館で登録有名文化財として保存されています。よく見ると、背後に新しく建てられた山小屋があります。
また、小さなテント場もあります。ここで一夜を過ごすのも良いでしょう。
島々谷のルートは
昔使われた島々谷のルートですが、魅力的なルートではあるのですが島々から徳本峠まで8時間弱かかり、途中にある岩魚留小屋が休業中であることから上級者向けのルートです。
また、投稿時点では三箇所ほど通行止めが確認されています(2020年から通行止め)。十分確認の上、行くようにしてください。(2024年に通行止め解除が予定されています)
3.山岳景観を楽しもう!
登山を辞めて久しい私ですが、やっぱり山岳景観への憧れは今も消えることはありません。そこで、登らないにしても峠などに車やハイキングで行き、眺めを楽しみたいです。今回紹介した夜叉神峠くらいなら今でも歩けないことはありません。上の写真のような登山が必要な場所には行けませんが。
皆さんも、自分ができる範囲で山岳景観を楽しんでください。