大雪山で高山植物を見るならココ! ~ チングルマの大群落・ホソバウルップソウ・チョウノスケソウ

2023年6月3日

大雪高山植物1

大雪山の魅力の一つに、高山植物があります。広大な面積を誇る大雪山では、どこでも数多くの高山植物が咲いています。そして、特にここはすごい(個人的な感想)という場所が2か所あります。今回はその2か所をご紹介します。

1.裾合平から中岳温泉間のチングルマ

大雪高山植物2

高山では良く見かけるチングルマ。しかし、大雪山チングルマ群落は、他とは比較にならないほど大きいです。その大群落のある場所が、裾合平(すそあいだいら)から中岳温泉へ向かう登山道の周辺です。

チングルマは雪解けと共に咲き始めるので、8月に入ってからの方が良いでしょう(近年の高温傾向によっては、7月下旬から)。もう見渡す限りチングルマが咲いていて、絨毯が敷き詰められているみたいです。

確かにチングルマはおなじみの花ですが、ぜひ一度は裾合平チングルマ群落を見てください。

2.小泉岳南方斜面

大雪高山植物3
ホソバウルップソウ

大雪山ならではの高山植物を見るのであれば、小泉岳(2,158m)山頂から緑岳(2,020m)へ向かう登山道沿いをおすすめします。一帯は風衝地で、植物もまばらに見えます。しかしながら、気象条件の厳しい場所だからこそ、他にはない高山植物が息づいています。

ホソバウルップソウは、大雪山固有種です。花期は6月下旬から7月上旬であるため、夏山登山が本格化する7月中旬では終わりかけになることが多いです。できれば7月1日前後が良いですが、まだ登山道が雪に覆われているため、急斜面をトラバースする部分での滑落を十分に気を付けなければなりません。

銀泉台大雪高原温泉から小泉岳へ向かう登山道には雪があると危険な箇所がありますから、十分に注意してください。しかしながら、7月初旬大雪山での高山植物の最盛期だと私は思います。ぜひ、この時期の高山植物を楽しんでください。

大雪高山植物4

私はスミレが大好きですが、シーズン最後を飾るのがタカネスミレです。スミレも高所で厳しい環境になると、岩陰に隠れながら咲いています。花期は7月中旬から下旬で、8月になるとすっかり終わっています。次に紹介するチョウノスケソウとペアで見に行くと良いでしょう。

大雪高山植物5

チョウノスケソウは、一見チングルマですが、良く見ると違っており、咲く場所が限られています。そのため、確実に見たい場合は、小泉岳周辺がおすすめです。それでも油断すると見落しそうですが、葉の形を覚えると見つけやすくなります。チョウノスケソウ7月中旬から下旬の短い期間に咲くため、狙って行かないと出逢えません。

大雪高山植物6

クモイリンドウは、8月になってから咲く花で、お盆の連休を利用した登山で楽しませてくれる数少ない花です。8月になると高山植物はすっかり減って、リンドウ系の花が主体になります。その中でクモイリンドウは、花が白色で株も大きく、存在感が大きいです。

クモイリンドウ小泉岳周辺でも咲きますが、白雲岳避難小屋付近が特に大きな株があって楽しめます。ぜひ、立ち寄りましょう。

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3.他にも高山植物の名所がたくさん!

大雪高山植物7

大雪山では、他にも高山植物を見る名所がいくつもあります。思いついたものを箇条書きにしてみると

  • 赤岳 第一花園、第二花園、第三雪渓
  • 黒岳から赤石沢、北海岳へ抜けるルート
  • 大雪高原温泉から緑岳へ行く時の第一花園、第二花園
  • 五色ヶ原
  • トムラウシ 日本庭園

私が昔歩いた五色ヶ原ですが、一面に咲くエゾノハクサンイチゲの大群落が見事でした。どこまでも続く花園は別世界に感じましたし、エゾノコザクラなどもいっぱい咲いていて楽しいルートでした。しかし、原因ははっきりと分からないようですが、エゾノハクサンイチゲの大群落は姿を消してしまったようです。

このように、高山植物はデリケートな自然のバランスに依存して存在しています。今後、地球温暖化などの気候変動の影響により、素晴らしい高山植物が見られなくなる可能性も十分にあると考えられます。

大雪山のように、単一の高山植物が大群落を形成するのは日本唯一と言っても良いでしょう。それは、北方ほど種類が減る代わりに単一種で大群落をつくるからです。今回ご紹介した場所は、文句なくおすすめできます。ぜひ行って、その素晴らしさを堪能してください。