ラズベリーパイ zero GPSロガー作成 その5 実践編
出来上がったGPSロガーを持って、ログ取りに行ってきました。プログラムは高度と時間も記録できるように改良しています。
ルートは、北海道音更町の道東道高架下駐車場から十勝が丘展望台までです。ラズベリーパイ(Raspberry Pi)を使ったGPS装置は、助手席に置いて記録しました。
それでは、細部について紹介します。
1.GPS装置の操作
GPSログを取る段取りですが、ラズベリーパイ zeroとスマートフォンをWi-Fiによってリンクします。スマートフォンのテザリングをオンにして、VNC接続でラズベリーパイ zeroと接続します。すると、スマートフォン側にはラズベリーパイのデスクトップ画面が表示されるので、GPSロガーのプログラムを実行させます。
これらのやり方は、ここまでの投稿で説明していますので参考にしてください。
2.ログを取った時の状況
ログが取れていることは、ターミナルのウインドウに通信状況が表示されるので分かります。出発から終点まで、順調にログを取ることができました。
3.取得したログをパソコンに取り込む
取得したGPSログは、ラズベリーパイのSDカードに保存されています。そのため、パソコンに転送する必要があります。SDカードを物理的に取り出しても良いですが、私はラズベリーパイ側にFTPサーバーをインストールして、パソコン側のFTPクライアントで取り込みしました。やり方は良く紹介されていますし、私もそのうち紹介するかもしれません。
取り込んだGPSログを処理する方法はいろいろありますが、今回は「カシミール 3D」を利用した取り込みを紹介します。
GPSデータ編集ウインドウを表示する
カシミール3Dのメニュー「編集」「GPSデータ編集」を選択します。
GPSログをカシミール3Dで読み込む
GPSデータ編集のメニュー「GPSデータの追加読み込み」を選択します。GPSログはPOT形式で取得されているので、修飾子を「.POT」で読み込みます。
ウェイポイントの選択
GPSデータ編集ウインドウにある左側ツリーで「ウェイポイント」を選択します。右側のウインドウには、ウェイポイントの一覧が表示されます。
GPSログのウェイポイントを選択してトラックログに変換
今回作成したGPSログ取得プログラムは、POT形式のウェイポイントでログを出力しています。そのため、読み込むとすべてウェイポイント(点)で取り込まれてしまいます。
そこで、トラックログへ変換します。GPSログのウェイポイントを選択して(数が多くてたいへんですが)、マウスの右ボタンメニューで「変換」を選択します。さらにサブメニューが表示されるので、「トラックへコピー」を選択します。
トラックログで確認する
左側ツリーの「トラック」を選択してください。変換したGPSログは、「新規」の名前で登録されています。これで、トラックログとして利用できるようになりました。
今回のGPSログについて考察してみます。
4.ルートログについて
ルートログは、とても正確に取得できています。地図上でこれだけ乱れていないと、Garminやスマートフォンを使った場合よりも良いのではないかという印象です。
ログは1秒ごとに取れています。1秒ごとにGPSデータを取得する設定ですが、取得したGPGGAコマンドは2秒おきの取得になっていました。同じ地点にいても取得しているので、同じ地点が続く場合は代表して1点だけにする処理をいずれ入れたいと思います。
5.高度がうまく取得できない
自宅でテストした時から分かっていましたが、高度がうまく取得できません。高度には「海抜高度(アンテナ高度)」と「WGS-84座標系海抜高度差」があり、今回はWGS-84座標系海抜高度差を使いましたが、まったく高度が変わらない結果になりました。
海抜高度の方は同じ地点にいても安定しない状況がテストで続いていたため今回使わなかったのですが、海抜高度を使う方が正しいようです。この現象が秋月電子のGPSユニットの特性なのかは分かりませんが、今後もテストしていきたいと思います。
6.まとめ
今回のテストで、緯度・経度のルートログに関しては問題のないことが分かりました。むしろ座標が飛んでいることがなくて、車用として優れている印象を持ちました。
一方、高度の問題が解決していないため、アウトドアでの使用は難しい状況です。アウトドアではGarminのGPSかスマートフォンの方が使い勝手が良いので今回のGPSロガーを使うことは少ないと思いますが、今後もテストして行きたいと思います。
また、プログラムがPOT形式という過去のフォーマットでログを出力しているので、現在の一般的なGPXやKML形式で出力できるように改造が必要です。これは時間が取れたらやろうと思います。
今回作ったGPSロガーは十分役に立つと思いますが、GarminのGPSやスマートフォンがあるのに無理して使うべきなのかと考えると、疑問が残りました。そこで、他にはできない使用法を考えています。そのうち紹介しましょう。